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障がいってなんだろう?
「障がい者ってどんな人の事?」と聞かれたら
「眼が見えない人、身体が思うように動かせない人、耳が聞こえない人」
と答える人もいることでしょう
医学的には「日常生活を送る上で身体や精神の一部あるいは複数が十分に機能していない状態」を
障がいとしています
しかし、一方で社会の在り方が障がいを生じさせているとする考え方があることも意識してみてください
例えば、強度の近視がある方も眼鏡やコンタクトレンズを使って視力を矯正すれば特に不自由を感じる事なく
暮らすことができるように、車いすを使っていても駅や電車にバリアフリーの取り組みがあれば
肢体不自由な方でも難なく利用することが可能です
現在国内ではおよそ7,6%の方がなんらかの障害を有しているとされていて、障がい者の数は
身体障がい者436万人
知的障がい者108万人
精神障がい者419万人
となっており、これを人口1000人当たりの人数で見ると
身体障がい者は34人
知的障がい者は9人
精神障がい者は33人となります
また、身体障がいについては65歳以上の人が7割を占めていて
生まれた時からや、あるいは幼いころに身体に障がいが生じたという人より
加齢と共に障がいが起こるというケースが圧倒的に多いことが特徴的です
私たちは全ての人が年を取りますし、事故や災害で身体が不自由になる可能性もあります
つまり、今は問題なく暮らせていても、一生涯、自分だけは不自由も不便も感じることなく
暮らしていけると言い切れる人は1人もいないはずです
心のバリアフリー
学生時代にオートバイの事故で脊髄の損傷を受け車いすで生活している男性のお話です
仕事で東京に出張した際の帰りの飛行機に「何度も乗り遅れたことがある」と言います
現在は少しずつ整ってきていますが、車いす利用者は降車する時に乗車駅と降車駅の両方で係員の手配が整うまで乗車を待たなければならなかったそうです
空港までいくつかの電車を乗り継ぐ必要のある場合などでは、どんなに時間に余裕を持たせて移動の計画を立てても
なかなか電車やバスに乗れず搭乗時刻に間に合わないということが起こっていたそうです
車いすを利用する人が待たなくていい環境づくりを心掛けること
駅係員だけでなく、電車に乗り合わせる誰もが車いす利用者の乗降サポートができれば
車いす利用者も同等に公共交通機関をスムーズに利用することができ
車いすを利用する方の社会アクセスは今よりずっと良いものになりそうですね
ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインを最初に提唱したロン・メイスさんは幼少期にかかったポリオが原因で
その後の人生は車いすを使って暮らしました
その中で、車いすは取りたいものに手が届かなかったり
近づけないために操作のできない機器や環境に出会い
「どうして自分だけがこんなに不便を感じ、人より多くの時間やお金をかけて暮らすことを強いられているのか?」
と疑問に感じたそうです
やがて、建築や製品のデザイナーとなった彼は「デザインの力」でこうした不便は解決できると考えたのです
ユニバーサルデザインは、多数派に合わせた消費社会の中で、不便さを感じている人がいることを前提として
「全ての人」を対象として建築や製品、施設、環境、サービスをデザインしていくという考え方です
ユニバーサルには
・普遍的な、万人共通のといった意味があります
ユニバーサル社会が意味するのは「共に生きる社会」の実現ともいえますね
クロックポジション
2020年6月、全盲の女性のツイッターへの投稿に40万以上の「いいね」が付き大きな話題になりました
投稿されたのは、こちらの女性が4カ月ぶりに家族とファミリーレストランに出かけた時の出来事です
料理を運んできてくれた大学生くらいの男性が
「ピザは12時、サラダは3時、チョリソーは10時の方向に置きますね」と
テーブルを時計の文字盤にみたて数字の位置で物が置かれた場所を案内する方法で説明してくれたそうです
女性はこの出来事を
「感謝しすぎて涙が出そうでした」
と投稿しています
コロナウイルスの感染拡大で、視覚障がい者は日常生活がままならない苦境に遭遇する時期を過ごしました
買い物に出かける、通院するといった時に、ガイドヘルプを必要としていても「社会的距離」の確保を担保するとなると
「ガイドヘルパーは派遣できない」と断られる場合が多かったそうです
そんな中、久しぶりに出かけたファミリーレストランで、クロックポジションの案内を受けたことはきっと
「世の中捨てたもんじゃない」
と彼女に思わせるに値するステキな出来事だったのではないでしょうか
白杖をもった視覚障がい者は道に迷っていたり、困った様子があるときには「何か手伝えることはないか」と
感じる人が大半です
しかし、実際に「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけられる人が少ないのは
いざ案内を頼まれたときに「何をすればよいかわからないから」と答える人がほとんどです
そこで、ガイドヘルプの基本
・白杖を持っていない側の半歩前に立つ
・肘か肩につかまってくださいと伝える
・狭い通路では「狭い道を通ります」と声をかけ縦一列になる
・着席の案内では、白杖を持っていないほうの手でイスの背もたれと座面に触れ、イスの向きと座面の高さを確認してもらう
この4つを知って入れば視覚障がい者が困っているときに躊躇することなく手伝いを申し出ることが出来ます
私たちは、ちょっとした知識を持ち合わせるだけで、不自由を感じている人が困っている状況で
適切なかかわりの持てる存在へと自分自身を変えることができますね
耳の不自由な人とのコミュニケーション
現在は、コロナウイルスの感染症予防の観点から、レジや窓口にはビニールシートやアクリル板が設置され
誰もが、マスクを着用することになりました
そのため聴覚障がいのある方は、話しかけている人の口の形を読むことができず、何を話しているのか、場合によっては話しかけられていることに気が付かない状態に遭遇しています
視覚に障がいのある方に限らず、老人性難聴のある方、そして私たち自身も話している声がしっかり相手に伝わっているか不安なままの会話になっています
レジ袋が有償化され、袋が必要であるかを問われる機会が増えました
言葉ではLサイズの袋と答えてもMサイズが入っていたり
伝わらなかったこともあります
そんな時は、首を横に振ったり、手を左右に振ったりジャスチャーを加えると
声が届かなくても意味することがわかって伝えることができますね
小さく手を挙げるなどサインを送ってから話し始めるといった配慮が有効ですね
視覚障がい者や難聴者とのコミュニケーションでは資格情報を活用することが大切です
互いに声が届きにくい状況下においては視覚障がい者とのコミュニケーション手法が
私たちの日常にも役立ちます
誰もがマスクをしている今だからこそ、音声だけではなく
ジェスチャーなど視覚情報を加えての会話を試してみてくださいね