身近な人をなくす経験が減り、遺族への接し方がわからない人が増えました
社会構造の変化
多世帯の同居から核家族へ
自宅で看取ることから病院で看取ることへ
地域で葬儀していたことから葬儀社に委託へ
死別経験の減少
同居家族を亡くす経験の減少
地域の老人を亡くした経験の減少
両親の死別で初めて死に直面
こういった死へかかわる機会の減少で死に向き合えなかったり、遺族への接し方がわからない人が少しづつ増えています
また、周辺の言動に傷つく遺族もいます
思いやりのない言葉をかけられた 38%
周りからの言葉で傷ついた経験がある59%
その時は気にも留めなかったことが、時間が経つにつれてジワジワと心にダメージを与えることもあります
遺族の心理状態で多いもの
眠れない
判断ができない
外出するのが怖くなる
他人の話が理解できない
味覚がおかしくなる
攻撃的になる
さまざまです
葬儀社の打ち合わせで自分の異変に気が付くこともあります
次々と迫られる決断です
どの宗派で行いますか?
香典返しはどれにしますか?
祭壇と棺はどれがいいですか?
初七日には誰をお招きしますか?
それから、少し複雑な問いかけになると理解できない心理状態の時もあります
それは、聞き返しても人の話が理解できないほどのショックです
市役所、病院、銀行、保険会社での手続きでもショックを感じることがあります
どうして幼いこどもが死んだのですか?
虐待死を疑われる
病院が発行した死亡診断書に書いているのに何度も聞かれる
となりの人がビックリしてこちらを見る
清算時に大声でこれはなにか?と聞かれる
死亡診断書ですねと屈託のない笑顔での接しかた
このようにされると「死」をぞんざいに扱われた気持ちになってしまいます
様々な反応には認知面の症状まで含みます
心理・精神面の症状
恋慕う気持ち、切望、抑うつ、不安感、恐怖、絶望感、罪責間、自責感、敵意、イラだち、現実感の喪失、幻覚、錯覚
身体面の症状
眠れない、熟睡できない、食欲がない、頭痛、腹痛、動機、呼吸しづらい、疲れやすい、疲労感、故人と同じような身体症状
行動面の症状
涙が出る、人と関わりたくなくなる、引きこもる、アルコールに依存する、過活動になる、日常生活が困難になる、現実逃避、仕事に打ち込んで忘れようとする
認知面の症状
思考判断力の低下、注意、記憶力の低下、決断困難、思考制止、故人が生きているような錯覚や、幻覚
また、死別のストレスで起こること
うつ病の発生率約20%増加
心血管疾患での死亡率男性は40%増加
自殺率の増加があげられます
傷ついた言葉の一例
早く次の子どもを生んだほうがいい
あなたがくよくよしていたら、死んだ子も成仏できないよ
いつまでも泣いていたらダメでしょ。前向きにならなきゃ
納骨しないなんてとんでもない
親族同士で傷つけてしまうことも考えられます
アルフォンス・デーケンという12段階の悲観プロセスがあります
1段階、愛する人の死の衝撃で、一時的に現実感覚がおかしくなる
2段階、妻が、夫が、子どもが死ぬわけがないと死の事実を否定する
3段階、死に直面した恐怖で極度のパニックを起こす
4段階、不当な苦しみから強い怒りを感じる、私だけがなぜ?と怒りが爆発する
5段階、周囲の人々や、故人に対して敵意という形でやり場のない怒りをぶつける
6段階、過去の行いや悔やみで自分を責める、ああすればよかった、あのときああしていればと公後悔する
7段階、幻想、空想の中で個人が生きているかのように思い込み、実生活でもそのようにふるまう
8段階、葬儀や手続きがひと段落して周囲が落ち着いてくると、紛らわせない寂しさが襲ってくる
9段階、日々の生活目標を見失い、どうしていいかわからなくなり、あらゆることに無関心になる
10段階、自分の置かれた状況を客観的に見つめて受け入れる。勇気をもって直面すると努力が生まれる
11段階、希望や、笑いを見出す、悲観のプロセスを乗り切るため、また、健康的に生活するためにユーモアを再発見する
12段階、喪失前の自分に戻るのではなく、苦悩し、より成熟した人格者として生まれ変わる
もし、遺族に関わることがあれば、次のことに気を付けてあげましょう
プライバシーに配慮する
ゆっくりわかりやすい言葉で話しかける
故人の物は丁寧に扱う
思い出を共有する
大切な人を失うことはとても辛い経験です
少しづつ少しづつ、癒していくことが大切です